これが本当の「貧困」だ! 女子高生バッシングで分かった日本社会の闇 大内裕和(中京大学教授) (3/4ページ)

2016.09.11

女子高生バッシングで分かった日本社会の闇
女子高生バッシングで分かった日本社会の闇【拡大】

 第二に、新自由主義政策によって社会に蔓延する自己責任論と中間層の解体です。1980年代に始まり、1990年代以降に浸透した新自由主義は、人々の思考や行動様式、メンタリティに大きな影響を与えました。新自由主義グローバリズムと雇用の規制緩和によって、派遣、契約、パート、アルバイトなど非正規雇用の比率が高まり、不安定な仕事が急増しました。正規雇用労働者でもブラック企業や長時間労働に苦しんでいる人が多数います。高校生や大学生も、「学生であることを尊重しないアルバイト」であるブラックバイトに苦しんでいます。

 雇用の安定性が大きく奪われたのが、現代日本の特徴です。人々の生活を支えてきた日本型雇用が解体することによって、多くの人々は「自分の身は自分で守らなければならない」と考え、その感覚を強固に内面化するようになりました。

 そもそも日本社会において新自由主義が浸透したのは、それまでの高度経済成長の歴史が影響しています。「頑張れば何とかなる」という努力主義と成功体験が、新自由主義を支える自己責任論へと引き継がれることになりました。

 しかし、高度経済成長期の努力主義は頑張ることで「それまで以上の豊かな生活」が期待できたのに対して、現在は「頑張らなければ生き残れない」状況へと悪化しています。中流生活からの脱落におびえ、その恐怖と自己責任論に日々、痛めつけられているのが多くの人々の日常です。

 貧困層の増加と同時に、中間層の解体が急速に進んでいます。中間層から振り落とされそうになっている人々の生活は、貧困層に同情したり、共感する余裕を失いつつあります。「生き残り」のための自己責任論を強く内面化している人々が、他者の貧困の苦しみに同情し、共感することは容易ではないでしょう。そして、自己や他者の貧困を、自らが声を上げたり、社会に働きかけることによって解決しようと考えることは、さらに困難であるに違いありません。

 

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