【田中角栄 不敗の世渡り力】相手の名前をフルネームで呼ぶ 忘れた時の「テクニック」 (1/2ページ)

2016.11.16

田中氏は、相手をフルネームで覚えた
田中氏は、相手をフルネームで覚えた【拡大】

 相手からの親近感、信頼度を高める方法がある。相手の名前をフルネームで呼んでみることだ。その効用は少なくない。

 例えば、外でたまに知人に会ったとき、「山田さん!」と声をかけられるのと、フルネームで「山田一郎さん!」と呼ばれるのでは、親近感を持つという点では、断然、後者に軍配が上がる。そこまで自分のことを覚えていてくれたのかと、相手の信頼度もグッと変わってくるということである。

 田中角栄も、よくこの“手”を使った。

 大蔵大臣時代、普段は接触のない課長あたりと廊下ですれ違ったりすると、突然、「おっ、佐藤二郎クンじゃないか。元気かッ」とやる。課長とすれば、大臣が一課長に過ぎない自分の名字と名前を覚えていてくれたことで、いささかの感慨とともに、改めて田中への親しみを覚えるのである。

 田中は大臣に就任後、課長以上の役人の氏名、経歴などを調べあげた写真付きの「調査表」を、すべて頭にたたき込んでいたとされる。

 しかし、さしもの田中でも、時にフルネームまでは忘れることがある。こんなとき、新潟の選挙区で数年ぶりに会った支持者に、こんなテクニックで氏名を引き出したことがあった。

 「やあ、しばらくだな。元気か。ところで、あんたの名前が出てこない…」

 「渡辺ですよ」

 「そんなことは分かっているさ」

 渡辺と聞いて、記憶力抜群の田中は、数年前の出会いの光景を即座に思い出した。

 

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