先週、私は「慈しみの特別聖年」のイタリアツアーに同行し、今、話題の映画『インフェルノ』の舞台となったフィレンツェを訪ねました。この映画は『ダ・ヴィンチ・コード』、『天使と悪魔』に続くダン・ブラウン氏の傑作で、ダンテの『神曲』に秘められた暗号を読み解きながら、ヴェッキオ宮殿を中心に花の都「フィレンツェ」を紹介しています。
ダヴィデ像(コピー)の立つシニョーリア広場を見下ろすヴェッキオ宮殿は、かつてのフィレンツェ共和国政庁舎で、2階の「五百人広間」の壁画はミケランジェロとレオナルド・ダ・ヴィンチという2大巨匠が競作したエピソードで有名です。
このヴェッキオ宮殿と道路を挟んでウッフィツィ美術館がありますが、これはかつてメディチ家の事務局Ufficiが置かれていた場所で、今はボッティチェリの『ヴィーナスの誕生』やラファエロの『ひわの聖母』などルネサンス美術の粋を集めた美術館です。
この美術館を訪ねるとフィレンツェを繁栄に導いたのは、やはりメディチ家の財力によるところが大であると実感できます。そのメディチ家の中でもルネサンスの貢献者となれば、「祖国の父」と呼ばれたコジモ・デ・メディチ(イル・ヴェッキオ)と「豪華王」の異名を持つロレンツォ・デ・メディチ(イル・マニーフィコ)でしょう。
コジモは「フィレンツェのためならどんな出費も惜しまない」と、ブルネレスキやドナテッロなど多くの芸術家のパトロンになっただけでなく、彼らの私生活の面倒もみた人望の厚い人物でした。