マスコミは、北方四島が返還されるかどうかだけに関心があるようだが、注目すべきなのは平和条約だろう。北方四島で旧ソ連の行った行動はひどいものだったが、まず平和条約がなければ、しっかりした話し合いすらできない。
日本がこれまで北方四島で強い姿勢を示してきたのは、ソ連を敵国と認定してきたことの裏返しでもある。しかも、北方四島への移住を希望する人は少ない。ここは、1956年の日ソ共同宣言の通りに、平和条約の締結後、歯舞群島と色丹島を日本に返還するということで国益にかなうのではないだろうか。
日米、日露で戦後を終わらせることができると、安倍首相の「戦後レジームの総決算」が見えてくる。筆者は、米露に加えて、インドが重要なカギであると思っている。
これらの国は民主主義、自由主義を背景とする国家群である。日本が米露印と良好な関係を持っていれば、今揺れている欧州も日本についてくるだろう。民主主義を基調とする世界の平和構造を日本が主導して構築しようとしている。これも、安倍政権が民主主義国家の中で長期政権であるからこそできることだ。
得意の外交成果をひっさげて、来年1月解散があるかもしれない。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)