自衛隊の関連工事で、600人ほどの作業員も島に入り、ホテルや民宿は満杯だ。コンビニやガソリンスタンドの売り上げも増加し、ちょっとしたミニバブルの経済効果が出ている。住民税も増収となり、一部の基地反対者を除く島民たちは歓迎した。
防衛省はさらに、防衛力を高める「南西シフト」を進めている。2018年度末までに、鹿児島・奄美大島に警備部隊とミサイル部隊を計550人規模で、沖縄・宮古島に700〜800人規模で配備する。19年度以降も、沖縄・石垣島に500〜600人規模の警備部隊とミサイル部隊を配備する計画がある。
米海軍第7艦隊の司令官であるロバート・トーマス中将は「対立の激しい南シナ海を安定させる役割として、日本の自衛隊による哨戒活動に期待する」と発言している。
この際、日米同盟をさらに強化して、尖閣諸島で自衛隊特殊部隊の訓練や、海難防止対策としての灯台建設などを段階的に進めるのも抑止力の1つではないだろうか。
■山本皓一(やまもと・こういち) 1943年、香川県生まれ。日大芸術学部を卒業後、渡米。出版社を経て、フリーランスのフォト・ジャーナリストに。世界各国のルポルタージュや、湾岸戦争、ソ連崩壊、北朝鮮などをカバー。近年は尖閣諸島や北方領土、竹島など、日本の国境の島々を取材する。著書に『日本人が行けない「日本領土」』(小学館)、『日本の国境を直視する1、2』(ベストセラーズ)、『日本人がもっと好きになる尖閣諸島10の物語』(宝島社)など。