がんの治療成績は向上し生存率は上がっている。また、高齢化の進展とともにがんの発症は増え、2人に1人程度が一生の間にがんにかかると言われている。ただ、こうした知識は一般に普及しているとは言えないことが、内閣府が昨年11月に実施した「がん対策に関する世論調査」で明らかになった。
全国の18歳以上の3000人が対象。1800人余りが面接調査に答えた。
がん治療の種類や、たばこの有害性、若い世代でもがんが増えているなどの知識がある人は60%を超えていた。しかし、がん全体の5年生存率(がんと診断された人が5年後に生存している確率)が50%を超えていることを知っていたのは29・5%にとどまった。がんは短命とのイメージは根強いようだ。
年代別に見ると、知っている人の割合が最も高いのは60代で39・3%。最も少ないのは18〜29歳で15・3%。30代(21・4%)、40代(20・8%)も認知度が低かった。
実情は、国立がん研究センターが2006〜08年にがんと診断された約64万人のデータを分析した結果によると、がん以外の死亡の影響を除いた5年生存率は62・1%。今後さらに改善が見込まれている。
国民の3人に1人程度ががんで死亡していることは43・4%が知っていた。一方で、2人に1人程度がかかる身近な病気であることを知っていたのは31・3%。これも年代別に回答に差があり、60代の認知度が40・3%と最も高く50代(34・2%)、70歳以上(32・3%)が続くが、18〜29歳は20・8%、30代は21・9%と、若い世代の認知度の低さが目立った。