実は、金融機関も「年金が危ない」という常識が世の中で通用していた方が仕事がしやすくなる。たしかに、公的な年金はあくまで「基礎的」な部分であって、老後への備えはそれぞれに進めておく必要があるが、「公的年金が危ない」と多くの人が思ってくれていたら、投資や年金保険といったさまざまな金融商品を売りやすくなる。そうなると、金融機関系のエコノミストたちもまた、その利害から完全に自由になることは難しい。
こういう状況なので、きちんとした知識を持っていないと、メディアの情報などに惑わされて、不安ばかり強くなってしまう。年金について正しい知識を身につけなければ、結果として大きな損すらしかねない。
年金制度が入り組んで複雑化していることは事実だが、本来は、きわめてシンプルな仕組みである。筆者が年金制度の理解のために必要なポイントは次の3つであると思う。第1に年金は「保険」であること。第2に「40年間払った保険料」と「20年間で受け取る年金」の額がほぼ同じであること。第3に「ねんきん定期便」は国からのレシートということだ。
この3つを理解することで、年金問題で信じられていることと実態が異なることや、年金のあり方についてどう考えればよいかまで、驚くほど簡単にわかる。詳しくは筆者の『「年金問題」は嘘ばかり ダマされて損をしないための必須知識』(PHP新書)をご一読いただきたい。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)



