ゴールデンウイークは日本で建造された大型豪華客船ダイヤモンド・プリンセス号で横浜から高知、広島、釜山そして長崎と巡り、船内で幕末の歴史講座を担当しました。幸い天候に恵まれ、富士山も海上から美しい姿を眺めることができましたが、最も印象に残ったのは11万トンを超す大型客船の操舵(そうだ)室から間近に見た軍艦島の戦慄的な光景です。そこで、今回は軍艦島を中心に長崎にある明治日本の産業革命遺産をご紹介します。
富国強兵を目指した明治政府が重視した産業は、外貨獲得のための『絹産業』、軍艦建造のための『製鉄業』、そしてエネルギーとしての『石炭業』の3つでした。
日本最古の木造洋風住宅として世界遺産登録された「旧グラバー住宅」を建てたトーマス・グラバーも、最初は生糸の輸出、続いて武器弾薬や軍艦の輸入、軍艦修理のための小菅修船場の建設、そして高島炭坑の実質経営を行うなど、3つの産業に貢献した人です。
今回ご紹介する軍艦島は、その隣接する高島炭坑とともに日本の『石炭業』を支えた端島炭坑の通称です。この島は石炭出炭量の増加に伴い、急成長を遂げ、日本最古の鉄筋コンクリート建築のアパートや学校、神社、映画館などが立ち並び、1960年には5000人以上の人が生活し、世界一の人口密度を誇っていました。
今回のクルーズでは、実際にこの炭鉱で働いた経験のある「軍艦島コンシェルジュ」のガイドさんから貴重な体験談を聞くことができました。