環境破壊や公害が問題となっている中国で、発がん性のある重金属「カドミウム」による被害が深刻化している。広東省では汚染米が流通していたことが発覚。現地メディアが、「中国国内の全農地の6分の1がカドミウムを含む重金属で汚染されている」とする専門家の調査結果を伝え、波紋を広げている。
衝撃的な汚染実態を報じたのは、26日付の中国紙、光明日報。同紙は、カドミウムなどの重金属で汚染された農地の面積がすでに2000万ヘクタール(北海道の面積の約2・4倍)に達し、中国の全農地の6分の1を占めているとする専門家の調査結果を伝えた。汚染は鉱山や工場、都市の周辺などでひどく、経済発展が進んでいる地域はより深刻だとする専門家の分析を紹介。別の専門家は汚染の原因として世界平均の2・5倍に上る過剰な農薬使用を挙げている。
カドミウムは、戦前から戦後にかけて富山県で起きた「四大公害病」のひとつ、イタイイタイ病の原因物質。工業製品などに利用されるが、強い発がん性を持つ。
専門家は農地が工場排水などで汚染されたのが原因とみられると指摘しているが、カドミウムの排出源はいまだ特定されていないとみられる。
カドミウムをめぐっては、広東省広州市の食品薬品監督管理局が、今年1〜3月に市内で流通する「コメおよびコメ製品」を調べたところ、18サンプルのうち半数近くの8サンプルから基準値を超えるカドミウムが検出されたと今月中旬に公表した。
地元メディアによると、汚染米は、広東省のほか湖南省や江西省からも出荷されており、流通ルートに乗っていたことが判明。「毒米問題」として現地で不安が広がっている。
輸入食品の10%を中国産に頼る日本もひとごとではない。
防波堤となるべき検疫検査のシステムはあるものの、専門家の1人は「検査が行われるのは全輸入量のわずか10%に過ぎない。残りの90%は検疫をスルーして国内に入ってきている。輸入量は増えているのに検査機関数は横ばいでマンパワー不足も深刻だ」。
日本の食も危ない−。
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