■ウリジナリズムよそに崖っぷちの海女は日韓結集
海に潜ってアワビなどを捕る日本の習俗は、3世紀末に編纂(へんさん)された「魏志倭人伝」にも登場するぐらいで、はるか太古から引き継がれてきたとみていい。少なくとも「日本の海女の元祖は済州だ」と断定できる裏付けがあるとは考えられない。
そもそも、「海女の潜水能力比較」は無形文化遺産とさほど関係がないように思えるのだが…。
それでも、何でもかんでも「韓国起源だ」「韓国が一番」という韓国ナショナリズム「ウリジナリズム」にかかれば、サッカーや野球の日韓戦よろしく「海女でも日本に勝った!」と言わないと気がすまないのだろう。
そんな自己満足的「ウリジナリズム」をよそに、当の海女たちは日韓協力を進めてきた。深刻な後継者不足と高齢化という共通の難題に直面しているからだ。
1970年代に約1万4000人に上ったとされる済州の海女は約4800人に減少。全体の約8割が60歳以上だ。
状況は日本も同じだ。1950年代に約1万7000人いたとされるが、2010年末現在で現役の海女は約2200人にまで減っている。
海女文化を受け継ぐため、現役海女が国内で最も多い三重県などが中心となって09年から「海女サミット」を開催し、韓国・済州の海女たちも参加している。10月に石川県輪島市で開かれた今年のサミットでは11年に続き、海女文化の無形文化遺産登録を目指す宣言を採択した。
日本では追い風も吹く。「じぇじぇじぇ」が流行語大賞にもなった、言わずと知れたNHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」ブームだ。この風を絶やすまいと、同月、現役海女ら約100人が東京・六本木ヒルズに集まり、PRするイベントが行われた。三重、石川両県など8県は来年1月に「全国海女文化保存・振興会議」を発足させる。
こういった日本の盛り上がりに、韓国では、先に挙げた中央日報の記事のように「遺産登録で先を越される」と危機感を抱く声が出ているのだ。