★(2)
「君たちは、カミカゼのパイロットを尊敬しているのですね?」
私(井上)が尋ねると、屈託のない笑顔でフィリピンの女子高校生たちは答えた。
「もちろんです! だって、あの人たちはヒーローですもの」
2000年10月25日、フィリピン北部ルソン島にあるタルラック州バンバン村で催された神風特別攻撃隊の慰霊祭に参列した女子高校生たちは皆、日本の神風特攻隊を“ヒーロー”とたたえてくれたのだ。
1944年10月25日、関行男大尉率いる「敷島隊」の零戦5機が250キロ爆弾を抱いて、ルソン島のマバラカット飛行場を飛び立った。レイテ湾の米空母部隊に体当たり攻撃を行い、敵に大打撃を与えた。神風特別攻撃隊の始まりである。
敷島隊の出撃日を記念して、マバラカットとバンバンで日本人が度肝を抜くような、盛大な慰霊祭が催されたのだ。式典を取材していた地元記者のジョジョ・マリグ氏(25)はいう。
「この式典は、日本とフィリピンの関係を知るよい機会です。私自身、カミカゼについて多くの書物を読みましたが、その尊い命を国家にささげた関大尉は“英雄”だと思います」
冒頭に紹介したバンバン村の慰霊祭には、学校単位で学生たちが参列していた。地元のサン・ロック高校の女学生の1人は、神風特攻隊を「Brave!」(勇敢)といい、こう続けた。
「フィリピンにも英雄はたくさんいます。ですから私たちも神風特攻隊という日本の英雄を大変尊敬しています」