中国が凶暴さをあらわにした。ベトナムと領有権を争う南シナ海のパラセル(中国名・西沙)諸島の周辺海域で、一方的に石油掘削を続けているが、何と、中国船がベトナム漁船に銃撃まで加えていたのだ。一線を超えた中国による実力行使。ベトナム政府関係者は「中国の真の狙いは南シナ海のすべてを支配下に置くことだ」などと反発している。
衝撃の事実は、ベトナム外務省が27日に公表した。中国船によるベトナム漁船への攻撃的行動は5月初めから相次いでいるが、同海域で7日、中国船がベトナム漁船に放水や体当たりして損害を与えただけでなく、銃撃までしていたという。
また、16日には中国側がベトナム漁船に乗り移り、資材を破壊しベトナム人漁民2人に殴るなどの暴行を加え、けがを負わせたとしている。
ベトナム外務省のレ・ハイ・ビン報道官は「ベトナム漁民の生命や財産に重大な損害をもたらす非人道的な行動」をやめ、漁民に補償するよう強く要求した。
銃撃被害の公表が遅れたことについて、日本の公安関係者は「ベトナム側としては、事態がエスカレートすることを避けるため、一時的に情報を隠したのかもしれない。ただ、ベトナム漁船が沈没させられて、公表に踏み切ったのではないか。重要なのは、南シナ海や東シナ海で『力による現状変更』を進める中国のやり方だ。先日の戦闘機接近もそうだが、沖縄県・尖閣諸島周辺でも暴力的手法をとる危険性がある」と語る。