ところが、朴氏は恋の病にかかったかのように対中接近を続けており、肝心の米韓同盟にも暗い影を落としている。その象徴が、北朝鮮のミサイルから韓国を守るMDの中核となる地上発射型「高高度防衛ミサイル」(THAAD)問題だ。
韓国紙・中央日報によると、スカパロッティ米韓連合司令官は「韓国をもう少し成功裏に防御するための方法を考える必要がある」として、韓国のMDにTHAADを組み込むよう要請してきたが、韓国の金寛鎮(キム・グァンジン)国防相は先週18日の国会で「米国で協議中だが、韓国が購入し配備する計画はないことは明確にした」と完全否定したのだ。
同盟国でありながら、なぜ、かたくなに防衛協力を拒むのか。THAADが高額予算というだけではない。答えのカギは中国にある。
「朝鮮半島にMDを配備するのは、地域の安定と戦略的均衡に役立たない」
中国の秦剛報道官は先月28日の記者会見で、韓国へのMD導入について、明確に反対した。
つまり、THAAD導入に対する韓国の慎重姿勢は、中国の意に沿う形だったといえる。習氏は5月に「第三国を想定した軍事同盟の強化は地域の安全維持のためにならない」とも述べており、日米韓3カ国の防衛協力を切り崩すため、韓国をターゲットにしているのは確実だ。
習氏の訪韓について、米国は表面上、「重要な節目だ。北朝鮮問題など必要な協力を促進すると信じている」(リッパート次期駐韓米大使)と、平静を装っている。