販売数量は増加し、売上高も微増したが、営業利益は落ち込んだ。営業利益率となるとガタ減りだった。コストが上がれば、そういうこともあるだろうが、「そこで配当を54%アップする」となると「何っ!?」だ。韓国・現代(ヒュンダイ)自動車の話だ。
現代自動車グループが、ソウルの一等地8万平方メートルを、鑑定価格の3倍を上回る10兆5500億ウォン(100ウォン=11円の水準、約1兆1600億円)で落札したことは昨年9月24日付の本欄で紹介した通りだ。落札決定の発表と同時に、現代自の株価は9%下落した。
ソウルの一等地に「現代自グループの大財閥村を建造する」という構想、その第一歩である用地の高値購入に、市場は大疑問符を付けたわけだ。
以来、現代自の株価は続落、24万ウォン前後だったものが、昨年11月4日には15万5000ウォンまで落ちてしまった。
ここで1つの問題が浮上した。
現代自の株式を原資産として発行された株価連動型証券(ELS)の一部が、所定の償還条件が適用される下限であるノックイン価格(15万8700ウォン)を下回ったのだ。このELSの具体的設定がどうなっているかは明らかではない。ただ、満期時点でノックイン価格を下回っていると、投資家に膨大な損害が行く。
ここで現代自が慌てたのは“よほど重要な人物”が、このELSを大量に保有しているからではあるまいか。