霧のせいで少し見通しは悪いけれど、まぁ何とかうまく収まって…と、鼻歌交じりで歩いていたら、突然暗雲が立ち込めてきた−。韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は「固定支持率4割」と言われていたのに、ガクン、ガクンと落ちた。韓国ギャラップは1月30日、支持率29%と公表した。
そして、保守系紙まで公然と反旗を翻した。どうやら、そのパーソナリティーが、彼(か)の国民をして「知れば知るほど嫌いになる」と作用させているようだ。
昨年の今ごろ、韓国の新聞は盛んに「経済革新3カ年計画」を報じていた。朴大統領が「潜在成長率4%、所得4万ドル(約470万円)、雇用率70%達成」という青写真を提起したからだ。詳細は大統領就任記念日(2月25日)に発表とされていたが、記念日に出てきたのはアクションプランなしの項目羅列集のようなものだった。
それでも、支持率は4割台を維持していた。
ほどなく、旅客船「セウォル号」が沈没した。政府の対策は後手の連続で、沈没原因の背後には「過重積載」の黙認など、汚職が蔓延していたことも明らかになった。だが、支持率はなぜか5割台に上がった瞬間もあった。
保守派の伝統的地盤である慶尚道(キョンサンド、旧新羅地域)には「支持理由は、朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領の娘だから」という分厚い支持基盤がある。逆に、金大中(キム・デジュン)元大統領の故郷である全羅道(チョルラド、旧百済地域)には「不支持理由は、朴正煕の娘だから」とするアンチ勢力が多い。
それでも全体としては、常に支持率4割台は固い−というのが韓国政界の常識だった。
それはセウォル号沈没当日の「空白の7時間」「秘線(密会相手)疑惑」が国会で採り上げられても揺るがなかった。