ところが、今年1月12日の年頭記者会見の後は、支持率が35%に落ち込んだ。就任2年にして記者会見をするのが2回目というのは、韓国のマスコミが「国民との意思疎通が不十分」と批判するところだ。
「閣僚とは直接会ったらどうなのか」という質問も、その脈絡で出た。「門番3人組」と言われる側近秘書官を切ったらどうなのかという意味が込められていたのだが、朴大統領は会見台の横に控える閣僚たちを見やって、「私に会いたいの」の一言でやり過ごした。大統領府広報の仕切りで「再質問なし」だから、まさに木で鼻をくくった答弁の連続だった。
この会見を機に保守系紙の論調が変わった。
朝鮮日報(1月19日)の社説「政権交代を待ちわびる韓国の経済官僚たち」とは、朴大統領への下野要求に等しい。「経済革新3カ年計画」なんて、だれか覚えているのだろうか。
朴大統領は体制立て直しを目指して1月23日、次期首相に李完九(イ・ワング)与党院内代表を指名したが、中央日報(1月27日)は「私は李完九首相に共感できない」との見出しの論説委員コラムを掲載した。
任期はまだ3年と20日ある。大統領支持率とソウルの青年層の失業率(10%台)が競い合う日も近いかもしれない。
■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。主な著書に「韓国人の経済学」(ダイヤモンド社)、「悪韓論」(新潮新書)、「呆韓論」(産経新聞出版)、「ディス・イズ・コリア」(同)などがある。