ディズニーファンには、ちょっと気になるニュースが飛び込んできた。
米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は2月3日、米ウォルト・ディズニー社が総額55億ドル(約6500億円)を投じて建設している上海ディズニーランドのオープン時期が2016年上期にずれ込むもようだ、と伝えた。これまでは「2015年末に開園」と発表されていたので、およそ半年の先送りということらしい。
この手のビッグプロジェクトなら、少しばかりの計画の狂いは、ままあり得ることだが、なにせ舞台はあの中国だ。WSJは「オープン延期の理由は不明だ」としながらも、「ディズニー社が(計画の)すべてを掌握しているわけではないことを意味する」と、なんとも思わせぶりに報じている。
■“パクられる”ミッキー、ドナルド…
中国とディズニーといえばかつて、世界中から「パクリ遊園地」と指摘された石景山遊楽園(北京)の因縁がある。同園には、かなり雑な作りながらも、明らかにミッキーマウスやドナルドダックにしか見えないキャラクターが存在し、物議を醸した。園側はこのパクリ疑惑に対し、「これはミッキーマウスではない、耳の大きなネコだ」と説明し、強引に騒動を乗り切った経緯がある。ちなみに現在は、これらのミッキーもどき、ドナルドもどきは撤去されているようだ。
さて、話を上海ディズニーランドに戻そう。上海ディズニーランドの計画が持ち上がったのは今から約10年前。当初は2008年に開園予定だったというから、計画はどんどん後ずれしているわけだ。
2011年に公表された全体計画によると、上海浦東地区の410ヘクタールの敷地に、テーマパーク1施設、ホテル2施設などを建設する。直接投資額は245億元(約4655億円)。年間1000万人の来場者を見込み、チケットの売り上げだけで20億元(約380億円)、宿泊や飲食、交通なども含めると経済効果は年間160億元(約3040億円)に上るという。
プロジェクトは、ウォルト・ディズニー社と、上海市政府が運営する不動産・旅行・メディアの複合企業体「上海申迪集団」が、開発企業2社と管理会社1社を共同で設立して実施する。管理会社の持ち株比率がディズニー70%、上海申迪30%なのに対し、開発会社のそれはディズニー43%、上海申迪57%となっているのが目を引く。WSJはこの点を踏まえて、「ディズニーがすべてを掌握しているわけではない」と指摘し、今回の計画遅れの遠因になっていることを示唆している。