★(2)
2015年2月23日。14年間続いた日韓の「通貨スワップ(交換)協定」が終了した。誤解している人が多いが、通貨スワップとは、例えば韓国が通貨危機に陥った際に、「日本が韓国に融資する」という話ではない。事前に定められた為替レートで、韓国ウォンを「両替」してあげる(日本側から見れば)という内容である(23日終了の日韓通貨スワップは、日本側が『ドル』と両替する、というものだった)。
最近の韓国は経常収支黒字が継続し、外貨準備も2014年末時点で3636億ドル(約43兆2700億円)と積み上がっていることから、韓国政府は「韓日通貨スワップを延長しなくても関係ない」と自信を見せている。とはいえ、韓国が通貨危機時の保険を1つ、失ったことは間違いない。
もっとも、現在の韓国が抱える「経済問題」は、通貨危機というよりは「国民の貧困化」である。信じられないかもしれないが、現在の韓国は日本をはるかに上回るハイペースで平均賃金が下落していっているのだ。
直近のデータ(14年4月時点)を見ると、韓国の常用勤労者5人以上の事業所において、勤労者1人あたりの月平均賃金は、前年同月比で8・5%も下落した。(韓国雇用労働部『14年3月基準事業場労働力調査』による)物価変動を除いた実質賃金で見ると、前年同月比9・4%の下落だ。
興味深いことに、サムスン電子、現代自動車、SKという韓国の大財閥の財閥オーナーへ支払われる配当金は、前年比で55%も増加している。勤労者の賃金がマイナスで推移する反対側で、財閥オーナーの資本収益率は上昇している。まさに、フランスの経済学者、トマ・ピケティ氏のいう「r∨g」の環境が、韓国において「激しい形で」実現していることが分かる。韓国では「持続不可能な形」で格差が拡大していっているのだ。