米国務次官が先月末、日中韓の歴史問題をめぐる対立に触れ、名指しを避けながらも、政治指導者が「かつての敵」を中傷して国民の歓心を買うことがないように求めたことに、韓国が猛反発している。朝日新聞が歴史的大誤報を認め、慰安婦問題の核心が崩壊して動揺していたところ、図星の指摘をされてブチ切れたのか。韓国側の特異な反応に困惑する米国務省と、変化が見られる米メディアの論調。ジャーナリストの室谷克実氏が緊急リポートする。
「政治指導者が過去の敵を非難することによって、安っぽい喝采を浴びるのは難しいことではない。しかし、このような挑発は進展ではなく麻痺(まひ)をもたらす」
ウェンディ・シャーマン米国務次官による2月27日(日本・韓国時間28日)の発言は、韓国の政権や保守系マスコミにとって、大変な衝撃だったようだ。内容もさることながら、そのタイミングが痛かった。韓国にとっては「反日の歴史の晴れ舞台」である「三一節」(3月1日)の直前だからだ。
朴槿恵(パク・クネ)大統領の三一節式辞については、ハンギョレ新聞(3月2日)の見出し「対日強硬基調を固守」が言い得て妙だ。
式辞は「未来の50年のパートナーとして新しい歴史をともに記していくことを望む」とは言っているが、「日本政府の教科書歪曲の試みが続いていることも隣国関係に傷を与える」として慰安婦問題に触れるなど“日本が間違った歴史認識を正すことが入り口”とする原則は何ら変えていない。