日本による韓国漁船の拿捕(だほ)が、速いペースで進んでいる。日韓漁業協定に基づく排他的経済水域(EEZ)内で相手国の漁船に認める漁獲割当量の交渉妥結が年明けにずれこんだ結果、ほぼ2週間に1隻の割で違反操業の韓国漁船が、水産庁の取締船に拿捕される事態となった。韓国領海内では乱獲による水産資源の減少も指摘されており、今後も同様の拿捕が続く恐れもある。
■漁獲量ほぼ半分に過少申告
鹿児島県トカラ列島から西に約270キロのEEZで3月8日、韓国のはえ縄漁船「508コリョ」が、水産庁の漁業取締船の立ち入り検査を受け、拿捕された。同船は約1.9トンのタチウオを漁獲していたが、操業日誌には約1.7トンとしか記載していなかったことから、漁業主権法違反(操業日誌不実記載)容疑で、船長(47)らを現行犯逮捕したのだ。
同じ操業日誌不実記載容疑では、2日前の5日にも別の韓国のはえ縄漁船が拿捕されたほか、2月2日、7日にもそれぞれ拿捕された。もっとも悪質なケースでは、実際のタチウオの漁獲量が1.9トンだったにもかかわらず、操業日誌には約1トンとほぼ半分しか記載していない漁船もあったという。
日韓漁業協定に基づき、EEZ内で操業する韓国漁船には、魚種ごとに漁獲割り当てが定められている。乱獲を防ぎ、自国の水産資源を保護するためだ。水産庁によると、拿捕されたのはいずれも「正規の入漁許可を得た漁船」だが、操業日誌に実際より少なく記載し、割当量を上回る漁獲を得ようとするこそくな手口が後を絶たない。