★(1)
中国経済が「デフレ地獄」の崖っぷちに立たされている。アジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立準備に注目が集まる陰で、不動産バブルは崩壊し、輸出も内需も不振続きなのに、習近平国家主席率いる共産党政府が効果的な対策を取れないのだ。景気テコ入れのため、中国人民銀行(中央銀行)は10日、昨年11月以降、3度目となる政策金利の引き下げを発表した。こうしたなか、経済評論家の三橋貴明氏が、信憑(しんぴょう)性を疑われる中国の経済指標と、世界経済を激震させかねない「デフレ輸出」に迫った。
ロンドンに拠点を置く、世界的独立系マクロ経済リサーチ会社「ロンバード・ストリート・リサーチ(LSR)」のダイアナ・ショイレバ氏によると、2014年の中国の経済成長率(実質GDP成長率)は、共産党政府発表の7・4%ではなく、1・7%に急落しているとのことである。どういうことか。
そもそも、中国はGDPについて「対前年同期比のみ」を発表し、対前期比の数字は発表していない。中国共産党は4月15日、15年1−3月期のGDP成長率を発表したが、これまた「対前年同期比7%」であった。対前年同期比で発表されると、4四半期前や3四半期前の結果も入ってしまい、直近の経済状況が把握できなくなってしまう。そのため、主要国はGDPについて「対前期比」もしくは「対前期比(年率換算)」で実質の成長率を発表しているのだ。