北朝鮮が潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の水中射出実験に成功したと発表したことに、韓国は大きな衝撃を受けている。そこまでは事実だが、韓国軍部にとって、北の発表は耳を澄まして待っていた“果報”に違いない。これで、北に対抗するための大型潜水艦とSLBMの開発費も、対潜能力増強のための予算も大幅増が確実になったからだ。
「米を扱っていれば、糠(ぬか)が手に付くのは当たり前」と言われる国柄だ。予算のどれほどが将軍や佐官の懐に消えるのか…。いや、その種の話は別途に書くとして、韓国国防省の報道官は、まるで日本の左翼政党の常套(じょうとう)句のようなセリフを吐いた。
「北朝鮮は、朝鮮半島と北東アジアの安定を阻害するSLBMの開発を直ちに中断すべきだ」
これを伝えたのは5月11日付の中央日報だが、翌12日付には「海軍の関係者」のこんな発言が載っている。
「(韓国は)2020年から3000トン級潜水艦9隻を導入する計画」
「3000トン級潜水艦には垂直発射台を装着し、弾道ミサイルを搭載できるため、5年後には韓国もSLBMを保有することになるだろう」
3000トン級潜水艦の建造計画そのものは公表済みだが、実はそれにはSLBM搭載をもくろんでいるというわけだ。それでいながら、公式には日本の左翼政党の常套句のようなセリフを堂々と述べる。これはグローバル化に向けて、日本が学ぶべき能力ではあるまいか。
北のSLBMの水中射出実験については、米国の民間衛星写真会社である「デジタル・グローブ」が衛星写真を解析して、潜水艦ではなく、水中に沈めたバージ船(はしけ)から発射されたとの推定を発表している。
これに対して、韓国国防省は猛然と反論した。