中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスの感染が拡大する韓国でデマ騒動が起きている。与党議員の発言などで「キムチがMERSに効く」との情報が流れた。この真偽不明の発言を韓国メディアが大きく報じ、専門家が慌ててその効用を否定する事態に発展したのだ。175人が感染し、うち27人が死亡している恐怖の感染症だけに隣国の混乱ぶりはまだまだ収まらない。
「コチュジャン、キムチをたくさん食べる韓国人は、MERSより恐ろしいSARS(重症急性呼吸器症候群)を克服した。MERSも必ず克服できる」
驚きの発言が飛び出したのは18日に行われた与党・セヌリ党の議員総会。韓国メディアによると、この場で、同党の代表を務める金武星(キム・ムソン)議員がこうぶち上げた。
まるで韓国の伝統食であるキムチやコチュジャンが、2002〜03年にかけて世界的に流行したSARSの治療に効果があったかのような内容だが、もちろんそのような効能は確認できてはいない。
だが、これが思わぬ波紋を呼んだ。
インターネット上では、金議員によるトンデモ発言が飛び出す前からキムチや韓国料理に使われるニンニクが「MERS予防にいい」などという情報が拡散していた。そんな“下地”があっただけに、デマが急拡大する事態になったのだ。
過熱する真偽不明の情報を受けて、ケーブルテレビ局「JTBC」は、専門家の「いい食品なのは事実だが、(MERS予防とキムチやニンニクとの)直接的な関係があるという研究結果はまだない」との解説を紹介。「MERSによる死亡者がキムチやコチュジャンを食べていなかったという確認もされていない」と報じるなど火消しに乗り出した。