米国は、中国が東・南シナ海などで軍事拡張路線をあらわにするなか、軍事パレードを含めた一連の記念行事を「国際社会やアジア地域での米国の求心力低下を図る戦略の一環」と冷徹に分析しており、朴氏に出席を見合わせるよう求めていた。
これに対し、中国は朴氏の取り込みに必死だった。
当初、軍事パレード参観を表明していたのは、ロシアのプーチン大統領や、中央アジア諸国やアフリカ諸国の首脳だけで、習氏のメンツが潰れそうだったのだ。
自国メディアを通じて、「朴氏が最終的にどのような判断を下すかによって、中国の民衆の受け止め方も違ってくるだろう」(環球時報・電子版、12日)、「悪意ある妨害で軍事パレードに支障が出た場合、中国は座視しないだろう」(同、24日)などと、事実上の恫喝(どうかつ)を続けていた。
最終的に、安倍晋三首相や欧州諸国の首脳は、中国の軍拡や人権問題に抗議する意味から欠席を決めたが、朴氏は同盟国の要請を蹴り飛ばして、かつての宗主国で、最大の貿易相手国である中国に従ったことになる。
韓国政府内には「習氏が最も期待している軍事パレードを欠席すれば、せっかくの訪中効果が半減する」との懸念があったという。
だが、朴氏の軍事パレード参加は、歴史的経緯からも疑問だ。