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中国経済の本格的崩壊が始まった。不動産バブルは2年前から崩壊しており、今年6月から株価の暴落が始まった。強権発動で何とか食い止めたようには見えるが、実は暴落のプロセスは始まったばかりである。
習近平政権は市場経済を捨てて、共産党の原点である統制経済に戻ってしまった。株価暴落を止めようとして、株式市場を破壊する愚行を行っている。8月にはついに、人民元高の維持ができずに、通貨安政策に方向転換せざるを得なくなった。国内金利も低め誘導を繰り返している。
これでは、外資が中国を見捨てて、対外流出するのを防ぐことはできない。さらなる元安となるので輸出産業が復活するかといえば、平均賃金が上昇しており、輸出大国を再現することは不可能である。低賃金労働はベトナムやバングラデシュに流出している。
「株価」「不動産」「人民元」の3つがともに価値を失っているということは、中国経済そのものが崩壊過程にあるということだ。
加えて、8月12日には、天津市で150人以上の死者が出る大規模爆発が起きた。続いて、22日には山東省●(=さんずいに災の火が田)博(しはく)市、23日には江蘇省蘇州市、24日には河南省鄭州(ていしゅう)市、26日には湖北省武漢市で、大爆発事故が起きている。
筆者は、天津市の大爆発はトップレベルの権力闘争が絡んでいると推測している。「追い詰められた江沢民派中心の反体制派による、習近平政権へのテロではないか」という未確認情報もある。
この意味で、天津市の大爆発は、チェルノブイリ原発事故がソ連崩壊に果たしたのと同様のインパクトを中国に与えるだろう。つまり、大爆発がきっかけとなり、共産党独裁体制が崩壊に向かう可能性がある。