韓国で歴史教科書問題が再燃している。複数の教科書(高校歴史)が出されている現状を1種類だけの「国定」に戻そうという動きが政府・与党など保守派の間から出ているからだ。野党や左派などの反発で政治問題化しつつある。
「国定」案の背景には、現行の教科書の多くが国の発展や成果より国に反対したり反政府的な出来事を重視する、いわゆる「国家より民衆」の左翼的歴史観に毒されていることがある。
韓国も日本と同じく歴史分野では左翼的な見方が優勢で「批判的精神を育てる」といって、もっぱら国や権力を批判する教育が行われている。韓国より北朝鮮が立派な国であるかのようなことさえ教えている。そこで右派や保守派は、しっかりした国家観を育てるため歴史の見方を統一した国定教科書が必要と主張。これに対し左派など野党勢力は「いや、多様な歴史観による多様な教科書が必要」といって対立している。
ところが“お笑い”なのは「多様な教科書」を主張しているのが日本との歴史教科書問題で保守派の新しい教科書(扶桑社版)は認めるなと反日運動の先頭に立った勢力なのだ。そして新しい教科書への“弾圧運動”で、多様性を否定した日本の左翼活動家を使って「多様性を守れ」などと言わせている。これは左翼の悲劇、喜劇?(黒田勝弘)