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韓国の経済団体である全国経済人連合会(全経連)の許昌秀(ホ・チャンス)会長は26日の日本経団連との会合で、「米国の利上げ方針などで、世界の金融は不透明になっている」と、今年終了したばかりの「日韓通貨スワップ協定」を再開するよう求めた。
通貨スワップ協定とは、外貨不足に陥り、通貨危機に直面した国が、日本円や米ドルなどを融通してもらう協定のことだ。韓国の朴槿恵(パク・クネ)政権は、2月に日本とのスワップ協定(最大時700億ドル=約8兆4270億円)について、延長を申し出なかった。
もちろん、日本にとっては、韓国と通貨スワップを結ぶメリットは特にない。「反日」色が強い朴政権にとって、通貨危機への備えである通貨スワップ協定を、日本に延長してもらうよう「頼み込む」など、プライドが許さなかったのであろう。
韓国は、中国と通貨スワップ協定を結んでいる。ところが、現在は中国経済が失速し、株式バブルも崩壊。外資が中国から資金を回収し始め、人民元から外貨への両替が増大している。中国人民銀行が外貨準備を取り崩し、人民元の為替レートが過度に下落することを防いでいるありさまだ。
そもそも、ウォン暴落時に韓国が必要とするのは、対外債務の支払いに使える「ドル」である。筆者は韓国が中国と通貨スワップ協定を結んだ際に、「なぜ、人民元のスワップを締結するのか、意味が分からない」と本連載で書いたが、韓国自身も意味が分かってはいなかったようだ。
というわけで、韓国経済界は有事に備え、日本と再びドル・スワップを結びたいと言い出したのである(=厚かましくも)。