【パリ=宮下日出男】パリ同時多発テロを受け、フランスのオランド大統領は週明けから、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」掃討に向けた外交活動を本格化させる。米露に加え、英独の首脳と相次ぎ会談して欧州の団結を確認したい考えだ。ただ、欧州諸国の中にはテロの「飛び火」を恐れ、現状を「戦争状態」と見なすフランスと距離を置く国も出ている。
オランド氏は23日にキャメロン英首相をパリに迎えるのを手始めに、24日には訪米してオバマ大統領と会談。続いてパリに戻って翌25日にメルケル独首相と会い、26日には訪露し、プーチン大統領と会談する。
オランド氏はテロ発生後、イスラム国を標的としたシリアでの空爆を強化。米露首脳とは両国がそれぞれ実施中のシリア空爆の調整などを図るとみられる。
一方、欧州連合(EU)にはEU基本条約に基づく相互防衛援助を申請し、承認された。支援の内容はフランスと加盟国が個別に決めるが、キャメロン氏はすでにシリア空爆への議会手続きを進める意向を表明。オランダのルッテ首相も「真剣に検討中」とし、デンマークも可能性を排除しないとした。これまで空爆の対象をイラクに限定していたフランス以外のEU加盟国にも空爆をシリアに拡大する動きが出てきた。