中国経済の先行きに警戒感が強まるなか、5日に全国人民代表大会(全人代=国会)が開幕した。習近平指導部で初めて独自に経済政策「第13次5カ年計画」を策定するが、財政、金融ともに景気対策で打てる手は限られ、企業の過剰債務や銀行の不良債権に欧米の投資家や格付け会社は強い懸念を示す。さらに最大600万人のリストラなど、習指導部が抱える課題は山積している。
16日までとみられる会期中には、今年の国内総生産(GDP)成長率目標が打ち出される。2015年の成長率は6・9%と政府目標の7%は未達で、今年は「6・5〜7・0%」など幅を持たせた目標が全人代で確認される可能性もある。
ただ、中国のGDP統計をまともに信じる向きは少なく、市場関係者の関心は景気失速や株・為替市場の混乱を止められるのか、習指導部の次の一手に集まっている。
まず注目なのが積極的な財政支出だ。20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議閉幕後の記者会見で、楼継偉財政相は「債務増大による財政出動の余地がある」と強調している。
しかし、第一生命経済研究所主席エコノミストの西濱徹氏は、「過去の財政依存が過剰設備や過剰債務問題を招いたこともあり、財政出動にはあまり期待できない。減税や企業のコストを減らす施策が中心となるだろう」とみる。