「昇竜・韓国」の原動力とされてきたサムスン電子が新型スマートフォンの発火でつまずくなか、もう1つの原動力とされる現代(ヒュンダイ)自動車も、道を踏み外したかのように揺らぎが大きくなってきた。
今月中旬には、中国第4工場が竣工(しゅんこう)する。これで現代自と、傘下の起亜(キア)自動車を合わせた生産能力(韓国+海外)は868万台になる。年内には中国第5工場も完成し、生産能力は898万台に達する。
現代自の最大の販売先は中国だ。今年1〜3月期の中国の自動車販売台数は10%拡大した。ところが同時期、現代自の中国での販売台数は10%の減少だった。
第4工場の竣工式前に中国法人のトップを更迭したのは、4〜6月期の販売も不振が続いたからだろう。第5工場まで完成すると、中国での稼働率はどうなるのか。
一方で、韓国では「強力な貴族労組」によるストだ。「年収ベースで1800万ウォン(約170万円)のアップ」という労使の暫定合意が、労組の大会で否決されてしまったのだ。
現代自の本社・工場の組合員平均給与は、すでに9700万ウォン(約900万円)で、トヨタ自動車よりも高い。現代自の米アラバマ工場は1台の車を製造するのに14・7時間かかるが、韓国国内の工場は26・8時間を要するという。それでいて、アラバマ工場の平均給与は韓国の8割弱だから、韓国流に言うならば「現代自は米国の労働者を不当に差別している」ことになろう。
現代自の9月の国内販売台数は前年同期比20%も落ちた。起亜自も14・9%の減。個別消費税の引き下げ終了とストの影響とされるが、「強力な貴族労組」はいま、組合員資格を守るために「昇進拒否権を認めろ」と要求している。
さらなる揺らぎが、この9日に起きた。