9日未明、ニューヨーク市内のホテル。「USA!」のシュプレヒコールに迎えられたドナルド・トランプ氏は、勝利演説で「4年、そして多分8年(2期)、あなた方の大統領であることを楽しみにしている」と宣言し、早くも長期政権への意欲を示した。
トランプ氏が次の主になることが決まった、首都ワシントンのホワイトハウスの前では、来年1月20日の就任パレードへ向け観覧席の建設準備が早くも始まっている。
準備作業を遠巻きに携帯カメラで撮影していたミズーリ州の女子大生は「この国も国際関係も恐ろしいことになるでしょう」と顔を曇らせた。
全世界が今回の大統領選の行方を固唾をのんで注視していた。ドイツから観光に来た夫婦は「米国とドイツ、欧州との関係が不安です」と口をそろえる。大阪から訪れた日本人女性も「日米関係は大丈夫かな」とつぶやいた。
「トランプ大統領」の下で、米国と国際情勢はどうなるのか。
「トランプ氏の外交・安全保障政策を占う最良のものは、彼の性格だ。『すべて交渉できる』と好んで言う。個別の案件ごとに極端な立場を取り、場当たり的に対応するだろう」
ブッシュ前政権で国務副長官などを歴任したロバート・ゼーリック氏は、トランプ氏という「未知」との遭遇が、米国と世界を一気に不透明な状況に陥れかねないと警告した。