中国の習近平国家主席による経済覇権戦略が破綻寸前だ。財務省は新興国への「特恵関税制度」の基準を見直し、中国などを対象から除外する方針で、中国製品1000〜2000品目の関税が上がりそうだ。トランプ次期米国大統領も中国製品への関税大幅引き上げを打ち出しているほか、オバマ現政権も中国を世界貿易機関(WTO)協定上の「市場経済国」としての認定を見送る。
トランプ氏がTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)からの脱退を宣言し、中国包囲網が崩れるかに思われたが、習政権にとってはぬか喜びに終わりそうだ。
財務省は関税・外国為替等審議会で、特恵関税制度の対象国の要件を見直し、2019年度までに実施する方針を示した。対象国の1人当たり国民総所得(GNI)の基準に加え、輸出の世界シェアなどの基準も設けた新規定では、中国とメキシコ、ブラジル、タイ、マレーシアの5カ国が適用対象外となる。
日本では、15年度に優遇税率が適用された輸入品のうち6割は中国からのものだった。政府関係者は「経済が発展しているのに、関税をまける必要があるのか」と指摘する。
中国製品をめぐってトランプ氏は選挙期間中、「関税を45%に引き上げる」と明言しているほか、「大統領就任初日に為替操作国に認定する」としており、過剰生産した製品を通貨安を武器に世界に大量輸出するという中国経済に大打撃となりそうだ。