ドナルド・トランプ次期米大統領が国防長官に指名したジェームズ・マティス元中央軍司令官(退役海兵隊大将)は12日、上院軍事委員会の指名承認公聴会で、アジアで軍事的覇権を強める中国について「信頼を損ねている」と批判し、「アジア太平洋地域は優先課題であり続ける」と言明した。トランプ政権の「対中強硬姿勢」がまた明確になった。
「狂犬」と恐れられるマティス氏は公聴会で「ロシアのプーチン大統領は北大西洋条約機構(NATO)を破壊しようとしている」「ロシアは米国にとって各方面で深刻な懸念を増大させている」と強い警戒感を表明した。
そのうえで、ロシアや中国、過激派組織「イスラム国」(IS)などのテロ組織によって、「世界秩序が戦後最大の危機にさらされている」と懸念を示した。
マティス氏は議員からの質問に回答する書面で、北朝鮮の核・ミサイル開発が加速していることなどを受け、「同盟国と緊密に連携しなければならない」と強調する一方、米国の軍事力によって恩恵を受ける日本や韓国などの同盟国に対して「応分の負担」をするように求めた。
次期米国務長官に指名されたレックス・ティラーソン氏も11日の公聴会で、中国の軍事的覇権を「大きな懸念だ」と指摘し、中国が沖縄県・尖閣諸島に侵攻した場合、「日本防衛を約束する協定に基づき対応する」と確約している。