ドナルド・トランプ米大統領が就任早々、世界を振り回している。23日にTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)から離脱する大統領令に署名し、NAFTA(北米自由貿易協定)は再交渉を求めた。貿易の均衡について、日本を批判する場面も見られた。ただ、アジアでの軍事的覇権強化を進める中国については強く牽制(けんせい)しており、大統領報道官は、南シナ海を「1つの国の支配」から防衛すると明言した。
世界各国は、いまだ全貌の見えないトランプ政権に一喜一憂している。
ロイター通信によると、TPP離脱に関する大統領令について、トランプ氏は「米労働者にとって素晴らしいことだ」と語った。同通信は離脱に伴い、「中国の影響が増すなか、米国はアジア諸国と距離を置くことになる」と報じた。
安倍晋三首相は24日午前、参院代表質問の答弁で「トランプ氏も自由で公正な貿易の重要性は認識していると考えており、TPPが持つ戦略的、経済的意義についても腰を据えて理解を求めていきたい」と強調した。
TPPに安倍首相がこだわるのは、緊密な経済関係が地域の安定を促進し、「対中国」安全保障という役割を持っているためだ。