安倍晋三首相(自民党総裁)が意欲を示す、憲法解釈変更による集団的自衛権の行使容認をめぐり、自民党第2派閥の額賀派(平成研究会)は27日、勉強会を開き、丁寧に議論していくことを確認した。旧田中派の流れをくむ額賀派は長く主流派の地位を占めてきたが、安倍政権発足後は存在感が薄らいでいる。党内に慎重論がくすぶるこの問題は、国会閉会後に想定される内閣改造をにらみ、首相を牽(けん)制(せい)するにはうってつけの側面もあり、同じくリベラル色が強い宏池会(岸田派)とも連携し、首相への圧力を強めようとしている。(村上智博、内藤慎二)
「個別の案件ごとに考えていかなければならない。政府の有識者会議『安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会』の報告が出てきたら、われわれの考え方を整理していく」
27日の勉強会で額賀福志郎会長はこう語った。党では安全保障法制整備推進本部で31日から議論することが決まっているが、「われわれの考え方」と表現するあたり、首相の出身派閥、町村派(清和政策研究会)に次ぐ第2派閥としてのプライドをうかがわせる。かつて隆盛を極めた面影は、今ではすっかり薄くなったが、それでも、額賀派に目を光らせる青木幹雄元参院議員会長の存在は大きい。
勉強会では集団的自衛権の行使について「極めて抑制的に認めるべきだ」との意見は出たものの、行使容認に否定的な意見は出なかった。勉強会が始まる直前、額賀氏は講師の高見沢将林官房副長官補に「政府は丁寧に議論してほしい」と注文をつけており、あくまで求めるのは慎重な議論。そこには内閣改造を見据えた「条件闘争」のにおいが漂う。