第186回通常国会が事実上の閉会日となった6月20日夜。国会近くの老舗ホテル内のバーで、民主党の細野豪志前幹事長、馬淵澄夫選対委員長、長島昭久元防衛副大臣の3氏がひそかに杯を交わした。折しも同日は、海江田万里代表の進退が注目された党両院議員総会が、国会日程の都合で延期されたばかり。3人の“秘密会合”は憶測を呼ぶものだが果たして−。
細野氏「衆院と参院で党運営に対する温度差がある。同じ方向を向いていかないと党勢を回復するのは難しい」
馬淵氏「今の民主党で選挙に勝つのは厳しい状況だ。いつ解散があっても対応できるように布石を打たないといけない」
長島氏「いつまでも第一、第二世代の先輩方におんぶにだっこじゃダメだ。党再生のためにわれわれが気勢を上げよう」
バー内にある個室で3人は向き合うと、民主党の再建にかける思いをそれぞれの立場からぶつけ合った。
党内では、民主党を創設した鳩山由紀夫、菅直人両元首相らを「第一世代」、野田佳彦元首相や前原誠司前国家戦略担当相らを「第二世代」、細野氏らを「第三世代」と分類する。当選4、5回生の3人は「第三世代」の中心人物だが、3人だけで一堂に会することはこれまでなかったという。
3人の政策的な共通点はいくつかあるが、その中でも特にこの日の会合で確認されたのが、限定的に集団的自衛権を認める「安全保障基本法」の制定だった。
党内でも保守派の論客とされる長島氏は先の国会中に、自身が会長を務める民主、日本維新、みんな、結い各党の有志議員による勉強会「外交・安全保障政策研究会」で安全保障基本法の指針をまとめた。
この動きに呼応するように、細野氏も5月末に結いの党の江田憲司代表のタウンミーティングで講演し、「野党側から安全保障基本法を提案する必要はないだろうか」と協力を呼びかけた。馬淵氏は、「集団的自衛権の限界を設定した上で、行使を一部容認すべきだ」との意見から、安全保障基本法に理解を示した。