安倍政権の切り札「万景峰92」 最大のカードは「日朝国交正常化」

2014.07.04


北が一刻も早く日本に入港させたい「万景峰92」(共同)【拡大】

 安倍晋三内閣は4日午前の閣議で、北朝鮮への独自制裁の一部解除を正式決定した。拉致被害者らを再調査する特別調査委員会が、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の直轄で、実効性が認められると判断した。ただ、「拉致被害者の全員帰国」を悲願とする安倍首相としては、貨客船「万景峰(マンギョンボン)92」の入港拒否など、北朝鮮を牽制する切り札を数枚温存しているという。

 「大丈夫、安倍政権が北朝鮮にだまされることはない」

 安倍首相は周囲にこう語っているという。

 制裁解除の対象は、人道目的に限った北朝鮮籍船舶の入港禁止のほか、(1)人的往来の規制(2)北朝鮮に対する送金の報告義務−で「ヒト・モノ・カネ」の3分野にわたる。朝鮮総連幹部の行き来をはじめ、滞っていた日朝の往来が部分的に再開される。

 北朝鮮はただちに特別調査委員会を設置し、拉致被害者らの再調査に着手する方向だ。委員会のトップには、秘密警察組織「国家安全保衛部」の副部長兼「国防委員会安全担当参事」というソ・テハ氏が就任。ソ氏は軍出身の70歳前後とされ、「大臣級以上の実力を持つ」という報道もある。

 横田めぐみさん=拉致当時(13)=ら拉致被害者の早期帰国が待たれるが、北朝鮮はこれまで何度も日本を欺いてきただけに、簡単には信用できない。

 このため、安倍首相は「被害者の帰還を図るカードは手放すわけにはいかない」として、北朝鮮が強く要望した貨客船「万景峰92」の入港禁止や、輸出入全面禁止、北朝鮮からの航空チャーター便の乗り入れ禁止などは継続している。

 万景峰92は、日朝間の物資輸送や、朝鮮学校の修学旅行、在日朝鮮人祖国訪問などに使用されてきた。一方で工作機関に所属し、日本に潜伏する工作員の指令場所や、輸出規制物質の搬送、不正送金にも利用されていたとされる。

 朝鮮半島事情に精通する元公安調査庁調査第2部長の菅沼光弘氏は「万景峰92もカードの1つだろう。『いい加減な再調査は許さない』という、日本の姿勢を示す意味がある。ただ、最大のカードは『日朝国交正常化』だ。これが実現すれば、北朝鮮としては対中、対韓カードを手にでき、国際的地位を高め、莫大な経済援助を受け取ることができる。これを駆け引きに使うべきだ」と語っている。

 

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