「装備品 第2の人生」にカベ 節約にならず…

2015.01.07


陸上自衛隊の3トン半トラック(提供写真)【拡大】

 昨年末に「装備品 第2の人生」について書いたが、「自衛隊で使わなくなった中古品を提供するなど簡単なことなのでは?」という反響があった。しかし、実際これが簡単なようで難しい。

 解体し、廃棄しなければならないという物品管理法上の規則は変更も可能かもしれないが、問題はそれだけではない。

 当然、装備の一部分が流出することで性能が分かってしまうような類はご法度だ。再び自衛隊仕様に塗装されるなどの、なりすましも考え得る。そうした事態を避けるための措置諸々に多大なコストがかかるとなれば、やらない方がいいということになってしまう。

 また、引き続き海外で使えるならば自衛隊でももっと長く使用可能なのではないかと言われかねず、それは損耗更新の理屈を自ら覆すことになってしまう。このため、いまひとつ、再利用へのインセンティブが働かない一面もあるだろう。

 厳しい財政事情のなか、各種装備品はとかく延命を求められる傾向にある。しかし、自衛隊の任務に耐えるためには大幅な改修が必要となるなど必ずしも節約にはならないのである。

 「あれは自衛隊のトラックですよ!」

 フィリピンのバナナ農園で、いすゞの3・1/2tを見たと聞いたことがある。(車体がピンク色に変わっているが間違いない)と装備マニアのその人は話してくれた。

 聞けば、そのトラックは「バナナの上でも滑らない」ということで重宝されているのだという。本当であれば、これは解体・破棄されたはずの装備品であり、製造元も防衛省も知らないところで海を渡ったことになる。

 2013年には廃棄されるはずの陸自の観測ヘリOH6が転売され、オーストラリアなどに輸出されていたことが発覚した。昨今は請負業者も競争入札で決めているのであろうが、そんなところで節約してこのようなことになるなら、はなから防衛省が中古品を戦略的に輸出し、それを国庫ではなく防衛費に還元できる仕組みを作るべきではないだろうか。

 「不用という言葉もやめてほしい…」

 製造者や整備などに携わる自衛官からはそんな声も聞く。

 鉄クズになって消えていく運命の「不用装備品」、万物に神宿るモノ作りの国に生まれた日本人としては、これを「不用」ではなく「退役」装備品として生まれ変わらせ、第2の人生で諸外国との絆作りに貢献してほしいと思う。

 ■桜林美佐(さくらばやし・みさ) 1970年、東京都生まれ。日本大学芸術学部卒。フリーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を制作後、ジャーナリストに。防衛・安全保障問題を取材・執筆。著書に「日本に自衛隊がいてよかった」(産経新聞出版)、「武器輸出だけでは防衛産業は守れない」(並木書房)など。

 

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