安倍首相は12日の施政方針演説で、農協改革や集団的自衛権行使容認を具体化する安全保障法制の見直しなどに、並々ならない意欲をにじませた。過激組織「イスラム国」による日本人殺人脅迫事件では憔悴した表情を見せていたが、何が意気軒高にさせたのか。
「『戦後以来の大改革』を、この国会で必ずや成し遂げようではありませんか!」
安倍首相の力のこもった声が衆院本会議場に響くと、与党議員の拍手で一気に沸き立った。
政治評論家の浅川博忠氏は「自信がみなぎっている様子がうかがえた。内閣支持率の上昇が自信を底支えしているのだろう」と分析する。
確かに、内閣支持率は上昇傾向にある。共同通信の調査(6〜7日実施)では、前回比1・4ポイント増の54・2%。テレビ朝日の調査(7〜8日実施)に至っては5・3ポイント増(50・9%)だ。
浅川氏は「野党のふざいなさが支持率を押し上げている。アベノミクスなどの批判はするが、対案を示せない。国民の目には安倍首相の存在が大きく映る」と語る。
施政方針演説などへの代表質問は16日から始まる。野党が存在感をアピールできなければ「1強多弱」は続きそうだ。