陸上自衛隊と米陸軍は現在、北海道の陸自矢臼別演習場(別海町など)で、共同訓練「ノース・ウインド2」を行っている。17日、日米の空挺(くうてい)部隊による、初めての共同降下訓練を行った。戦場や紛争地の取材を重ねるフリーカメラマンの嘉納愛夏氏がリポートする。
この日は、陸上自衛隊第1空挺団(空挺団)と、アラスカ米陸軍4−25歩兵旅団戦闘団から50人ずつが参加した空挺降下がメーンだ。「敵国軍の防御地点を攻撃する『陣地攻撃』の場面を想定した」という。
まず、陸自のCH−47ヘリコプターに空挺団の隊員が乗り込み、3人ずつ降下する。降着地は黄色い煙幕でマーキングしてあった。CH−47の大きく開く後部ハッチに降下する隊員が立っていた。上空300メートルなど、彼らにとっては慣れたものだろうが、見ているだけで怖い。
空挺団が飛び終わると、CH−47は米陸軍の隊員を乗せ、再び上空へ。パラパラとハッチから飛び出していく彼らの傘(パラシュート)は日本のものと違って四角い形状だ。一度に4、5人ずつ飛ぶ。
同じ空挺部隊でも、手順・手法・傘は異なる。それらをお互い認識し、今後に生かそうというのが共同訓練の狙いだ。経験や知識、利点を吸収し共有・改善できる。同盟国である日米は、今後もさまざまな部隊がパートナーシップを高めあっていくことだろう。
■嘉納愛夏(かのう・あいか) 1970年生まれ。神戸芸術工科大学卒業。FRIDAY専属カメラマンを経て、2004年からフリーに。戦場や紛争地、大規模災害、自衛隊取材などの第一線に身を投じてきた。趣味は料理と蝦夷鹿ハンティング。写真集に「中東の戦場スナップ」(アルゴノート刊)など。