菅義偉官房長官が4、5日、沖縄県を訪問して、翁長雄志知事と会談する方向となった。米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古への移設をめぐり、政府と県は法廷闘争も辞さない緊張関係にあったが、やっと落とし所を探る動きが出てきたのか。
「普天間移設に関する政府の考え方や普天間の危険除去について意見交換したい。時間が合えば、ぜひ会いたい」
菅氏は1日の記者会見でこう語った。翁長氏も「了解だ。沖縄の民意に耳を傾けてほしい」と記者団に述べ、会談に応じる意向を示した。菅氏は4日に予定される米軍キャンプ瑞慶覧(ずけらん)の西普天間住宅地区(宜野湾市)の返還式典に出席するために沖縄を訪れ、5日にも翁長氏と初めて会談する方向という。
翁長氏は元自民党県連幹事長だが、昨年11月の県知事選では「普天間飛行場の県外・国外移設」「辺野古への新基地建設断固反対」を掲げ、共産党や社民党などの支援を受けて当選した。
これに対し、政府としては、「世界一危険」といわれる普天間飛行場の固定化を避け、中国が軍事力を年々増強させるなかで米軍の抑止力を維持し、沖縄の基地負担を軽減するには、辺野古以外の選択肢はなかった。
そもそも、外交・安全保障はあくまで国の権限に属する問題であり、翁長氏の主張には代替案も落とし所も見当たらない。「元自民党県連幹部が共産党の支援を受けた」という感情的なシコリもあり、安倍晋三首相や菅氏と、翁長氏の会談は見送られてきた。