安倍晋三首相は23日、9月上旬に検討していた中国訪問を見送る決断をした。中国政府は9月3日の「抗日戦争勝利記念日」の行事に合わせた訪中を要請していたが、欧米諸国には、東・南シナ海などで軍拡を進める中国の人民解放軍を観閲することへの抵抗感が根強く、安倍首相も足並みをそろえることにした。習近平国家主席の威信をかけたイベントは、寂しいものになりそうだ。
「国会の状況などを踏まえ、(安倍首相は訪中見送りを)判断した」
菅義偉官房長官は24日午前の記者会見で、こう語った。
安倍首相としては、今国会最大の焦点である安全保障関連法案の参院審議が、9月上旬に大詰めを迎えることが予想されるため、訪中見送りは国会対応を優先させる意味合いもある。
記念行事に合わせて行われる軍事パレードには、1万2000人の兵士と200機近い航空機が参加。戦車やミサイルなど約40種類、総計500の兵器が披露される。装備はすべて国産で、84%が初公開という。
習氏としては、自身と国家の威信と人民解放軍の軍事力を内外に誇示するためにも、各国の代表を招待していた。
現時点で、オバマ米大統領や欧州の首脳の多くは欠席する見通しだが、ロシアのプーチン大統領や、中央アジアとアフリカの首脳らが出席する意向を示している。