東シナ海の軍事的緊張が高まっている。中国海軍の艦艇が日本の領海や接続水域に相次いで侵入していたが、ついに中国軍の戦闘機が航空自衛隊の戦闘機に攻撃動作を仕掛けてきたのだ。空中戦寸前といえる事態は、6月に入って複数回発生しているという。暴走して完全に一線を越えた中国軍。日本は現在、参院選(7月10日投開票)の真っただ中だが、政治家も国民も「今そこにある危機」を認識すべきではないのか。
「中国軍艦の領海侵犯と同じように、空でも少しずつステップアップして、それを常態化させる狙いだろう。空自機はミサイル攻撃を避ける『チャフ・フレア・ディスペンサー』(ミサイル誤誘導装置)を使ったようなので、パイロットの負担は相当だったはずだ。このまま放っておけばエスカレートして、空自機が撃墜される事態も起きかねない」
軍事ジャーナリストの世良光弘氏はこう指摘した。
中国機の暴挙は、元空自航空支援集団司令官、織田(おりた)邦男元空将が6月28日、インターネットのニュースサイトに「東シナ海で一触即発の危機、ついに中国が軍事行動」という記事を発表し、産経新聞や毎日新聞が29日、防衛省幹部らの証言を加えて報じ、一気に広まった。
萩生田光一官房副長官は同日の記者会見で「17日に中国軍用機が南下し、自衛隊機がスクランブル発進をしたことは事実」としたうえで、「攻撃動作やミサイル攻撃を受けたというような事実はない」と説明した。
ただ、産経新聞は30日朝刊で、政府関係者の「あれだけの距離に接近したのは前例がない」とのコメントに加えて、以下のように伝えた。