3施設の整備費膨張が異常なうえ、施設整備費全体の約7割(計1578億円)を占めていたからだ。「既存施設の活用や改築などで対応可能」(調査チーム)と指摘した。
ちなみに、3施設の工事の入札は極めて高い落札率だった。アクアティクスセンターと有明アリーナの工事を落札したJV(共同企業体)には、「都議会のドン」こと内田茂都議が監査役を務める電気設備会社も参加している。「利権」の存在を疑う声もある。
こうした小池氏らの動きに対し、以前から「犬猿の仲」である森氏は不満を抱えていた。
都の調査チームの提案を受けて、森氏は、競技会場は競技団体などと約2年間調整し、国際オリンピック委員会(IOC)の承認を得たといい、「それぞれの施設にはつくる理由がある」と説明した。さらに、「独断専行したら困る」「見直しは極めて難しい」「本当に都が見直しすることになれば大変なことになる」と、小池氏に警告していた。
前出の村井氏が12日、大会組織委員会を訪ねた際も、組織委側は長沼ボート場での実現性について、「選手村の分村」や「バリアフリー対応」「観客誘導」「アクセス面」など、「9つの問題点」を指摘した。
確かに、見直しのハードルは高い。
国際オリンピック委員会(IOC)の了承が欠かせないが、その前段階として、国内外の競技団体の同意も必要となる。今月初めに来日した国際ボート連盟のジャンクリストフ・ロラン会長は「現在の計画通りに実施すべきだ」と、小池氏に要請している。