安倍晋三首相が、電撃的な外交戦略を打ち出した。米ハワイを26、27両日訪問し、オバマ大統領とともに真珠湾攻撃の犠牲者を慰霊するのだ。戦後71年、未来に向けた両国の和解と、世界の平和と安定に貢献する日米同盟の強固な絆を世界に示す。中国の習近平国家主席や、ロシアのプーチン大統領らへの圧力とともに、天皇陛下のご譲位問題を政争に利用しようと暗躍する勢力への牽制にもなりそうだ。
真珠湾攻撃から75年目、現職首相の真珠湾訪問は初めてとなる。ハワイでは、オバマ氏と最後の首脳会談も行う。訪問は「犠牲者の慰霊のため」と位置付けられた。政府高官は同日夜、安倍首相の真珠湾訪問に際し、日米開戦をめぐり「謝罪する必要はない」との考えを示した。
真珠湾訪問については、オバマ氏が今年5月、被爆地・広島を訪問した際、一部のメディアが「検討している」と報じたが、安倍首相は記者会見で「現在、ハワイ訪問の計画はない」と否定していた。
ただ、首相夫人の昭恵さんが8月下旬にハワイの追悼施設を訪問するなど、水面下で環境整備を進めてきた。
安倍首相は昨年4月、ワシントンの米議会上下両院合同会議で演説し、先の大戦への「痛切な反省」に言及した。同時に「アジア太平洋をはじめ、世界の平和と安定に指導的役割を果たしていく」「日米同盟を『希望の同盟』にしていこう」と訴え、スタンディングオベーションを受けた。