安倍晋三首相は、ドナルド・トランプ米大統領との初の直接会談に臨むため9日夜、ワシントンに向けて出発した。首脳会談では、強固な日米同盟を確認するとともに、対日貿易赤字の一因として米国側が批判する金融緩和策について、デフレ脱却のためで円安誘導が目的ではないと理解を求める。日系企業が米国内の雇用創出で貢献している実績などを説明し、「信頼できる安保・経済同盟国」であることをアピールする。
注目の会談は、ホワイトハウスで10日午後(日本時間11日未明)に行われる。トランプ氏が最優先で取り組む米国での雇用増やインフラ整備への貢献策、2国間の通商交渉などが主要議題になる見通し。安全保障分野では、中国の軍事的覇権拡大を見据えた日米同盟強化が焦点になる。
日米両政府は会談後、安全保障や経済関係に関する合意文書を発表する方向で調整している。
安倍首相とトランプ氏はその後、大統領専用機エアフォースワンに同乗して、フロリダ州パームビーチに移動。トランプ氏の別荘で夕食会や朝食会の招待を受ける。共通の趣味であるゴルフも行う予定だ。ゴルフは当初、計27ホールを回る意向だったが、18ホールに変更になった。
日米首脳のゴルフとしては、安倍首相の祖父である岸信介首相が1957年、訪米した際、当時のアイゼンハワー大統領に誘われワシントン郊外で一緒にゴルフを楽しんだことがある。
このとき築いた首脳同士の人間関係が、60年の日米安保条約改定につながったとの指摘もある。