【スポーツ随想】平昌五輪“南北合同チーム構想”の非常識 関係者あきれ「選手たまったものではない」

 「世界平和」という人類の願いを込めた祭典である五輪を、平和とは最もかけ離れた国でやるという発想には、びっくり仰天だ。

 韓国の文在寅大統領が24日、同国の茂朱で開幕した世界テコンドー選手権の開会式の演説で、来年2月に迫った平昌冬季五輪での北朝鮮との南北合同チーム結成と、南北合同入場行進構想をぶちあげた。

 唐突で、どこまで本気なのか首をひねらされるが、文大統領は「初めて南北単一チームを結成し最高の成績を収めた1991年世界卓球選手権と、世界青少年サッカー大会の栄光を平昌五輪でもう一度見たい」。

 それはわからなくもないが、時期が悪すぎる。国際社会の抗議を無視するようなミサイル発射実験を繰り返す北朝鮮に対し、国連安保理の制裁決議がいたちごっこのように繰り返されている。

 米国では不当に北朝鮮に拘束されている間に昏睡状態に陥った大学生が解放され、帰国後に死亡した。トランプ政権の対北政策がさらに硬化しそうな情勢だ。

 合同チーム結成が取り沙汰されているのは女子アイスホッケーだが、既に韓国チームは何度も合宿を繰り返し23人のメンバーもほぼ固まっているという。

 そこで合同チームともなれば、半分は全く気心が知れない北の選手が入ることになり、チームは空中分解しかねない。

 「平昌開催が正式に決まった2011年から出ている話ならともかく、本番まで半年ちょっと。合同チームをあまりにも簡単に考えすぎている感じで、選手はたまったものではない」と関係者はあきれている。

 また、スキー競技の一部は北朝鮮の馬息嶺スキー場で行う計画もあるとか。そんなことをしたら世界から観光客が集まり、北朝鮮にとって貴重な外貨収入につながり、制裁が骨抜きになる。

 いくら何でも、国際オリンピック委員会(IOC)が“待った”をかけると思いきや…。「五輪ムーブメントは橋をかけるためにあり、壁を築くものではない」として「そのアイデアを喜んで議論する」ときた。韓国新政権といい、IOCといい、国際社会との大きなズレが心配になる。 (作家・神谷光男)