メジャー争奪戦、大谷は何を基準に所属先選ぶのか? 高校時代からの絆で一歩リードはDバックス

大谷争奪戦はすでに動き始めている。Dバックスの小島氏の存在は他球団にとって脅威だ

 ポスティングシステムを利用して米大リーグに挑戦する意向を正式に表明した日本ハムの“二刀流”大谷翔平投手(23)。大リーグの公式サイトがこのオフのフリーエージェント(FA)注目度ランキング1位に挙げるなど、日本の至宝に対する期待は高まる一方だ。さまざまなメディアが、メジャー全30球団参入の可能性すらある争奪戦の行方を占っているが、右腕は何を基準に来季の所属先を選ぶのか。争奪戦序盤でリードしているといわれる球団の強みとは…。

 「高校の時、一番初めに会いに来てくれたスカウトが大リーグの方でした。どこの球団とか、名前を挙げることはやめておきます。すいません」

 11日の記者会見で大谷が口にした「大リーグのスカウト」とは、当時ドジャースのアジア担当スカウトだった小島圭市氏(49)のこと。大谷が股関節のケガでプレーできなかった時期も、毎日のように花巻東高のグラウンドに通い詰め信頼を勝ち取った。結局、高卒即メジャー移籍を断念し日本ハム入りへ舵を切った大谷だが、いまも小島氏へ義理を感じているといわれる。

 現在はスカウト顧問としてダイヤモンドバックス(Dバックス)に在籍する小島氏の存在こそ、大リーグ関係者が同球団を大谷争奪戦の“トップランナー”と認識している理由だ。

 あるメジャー球団スカウトは「小島氏と花巻東高の佐々木(洋)監督、そして大谷の信頼関係のトライアングルは相当に強固。割って入ることは難しい」とこぼす。

 ただし、小島氏は大谷の二刀流をあまり高く評価していないともいわれる。大谷自身は「最初は栗山(英樹)監督やごく少数のスカウトの方だけが本気でやれると考えていた二刀流でしたが、5年間続けてきて、もう自分だけのものではなくなっている」と未踏の二刀流を貫いてきた自負と使命感をのぞかせる。

 DHのないナ・リーグ球団のDバックスでは、野手としてスタメン出場するには守備に就く必要が出てくる。二刀流に対してどのようなスタンスで臨むのかがポイントになりそうだ。

 まさにその点で、ここにきて急浮上しているのがレイズである。今年5月のドラフトで1巡目(全体4位)にルイビル大のブレンダン・マッケイ投手兼内野手(21)を指名。1Aのショートシーズンで二刀流としてプレーし、投手として6試合1勝0敗、防御率1・80。打者として打率・232、4本塁打、22打点をマークした。マイナーとはいえ、すでに二刀流の起用実績を作りはじめている。

 別の大リーグスカウトは「レイズは先発ローテの増員を含めて二刀流のバックアップ体制をアピールポイントにしていると聞く。新労使協定のためマイナー契約しか結べない大谷の獲得には、23億円のポスティング費用以外は年俸6000万円程度と、ほとんど掛からない。資金力がなくても十分勝算があると踏んでいる」と解説する。

 DHのあるア・リーグだけに日本ハムと同様に守備に就かないことで負担の軽減も可能。「(二刀流を)やれる環境があるのかどうかを聞いてみたい」と会見で言及した大谷。その点では右腕の気を引くことができるかもしれない。

 一方、米メディアは新労使協定による25歳以下の国際FA選手に使える契約金がいくら残っているか、などが決め手になるかのような報道が多く、最も枠を多く残しているレンジャース(残り枠金額353万5000ドル=約4億1000万円)や、ヤンキース(同325万ドル=約3億7000万円)が有利との見方が強い。大谷がカネ以外の価値観でチームを選ぶ可能性があるということを、いまだに信じられないようだ。

 実際、カネはともかく、大きな市場を抱える名門チームの魅力は大きい。他にもドジャース、カブス、ジャイアンツ、メッツなど大都市のチームが大谷に明確な興味を示している。

 資金力があるチームはスター選手を抱え、スタンドを満員にし、ポストシーズンの大舞台への近道でもある。プロ選手にとって何ものにも代えがたい。比較的歴史の浅いDバックスとレイズ(ともに1998年創立)にはない、伝統とブランド力もある。代理人のネズ・ボレロ氏も、ビッグクラブと大型契約を結ぶのを得意にしている。

 11日のABCニュースは、「メッツにとって最も必要なタイプの選手。先発ローテだけでなく、ジェイ・ブルース、カーチス・グランダーソンの欠けた打線の穴も埋めてくれるだろうが、すでに契約金に使える枠をだいぶ使ってしまっている。やはり、大谷争奪戦の先頭を走っているのはヤンキース。枠を残しているし、安価で契約できるなら、年俸総額が規定額超過によるペナルティーを払わなくてすむ。田中将大投手もいる。ヤンキースが最も適しているといえる」と報じた。

 14日(米時間13日)から4日間、米フロリダ州オーランドで大リーグのGM会議が開かれる。バレロ氏も参加する予定で、各球団と接触し二刀流へのスタンス、右腕への実際の関心が見えてくるだろう。大谷争奪戦が最初のヤマを迎える。