日本ハム、大谷と5年前に約束したこと メジャー行きかなえる“3カ条”

ファンフェスティバルで浮輪をキャッチする大谷。地元ファンに別れを告げた

 このオフにポスティングシステムで米大リーグへ移籍する日本ハム・大谷翔平投手(23)について、まことしやかに語られていた噂がある。5年前のプロ入りの際、「日本ハムが5年後に大リーグ行きを許可すること条件に提示して、大谷を口説き落とした」というのだ。

 しかし、「誓って『いつメジャーに行かせる』などと約束したことはない」と断言するのは、当時GMで交渉にも出馬した山田正雄スカウト顧問(73)だ。

 それでは、口説き文句はどんな言葉だったのか。大谷は今月11日のメジャー挑戦表明会見で、「世界で一番の選手になりたい。ファンの方々やいろんな人たちが『彼が一番だ』と言ってくれるのが選手として幸せなこと」と語っている。実はこれこそが、5年前に高卒即メジャー行きを希望していた右腕を口説き落とした日本ハムの“殺し文句”だった。

 交渉を担当した大渕隆スカウト部長(47)=当時スカウトディレクター=は、大谷との入団交渉に際して、『夢の道しるべ』と題した26ページに及ぶ育成プランの冊子を作成した。そして、「『早くメジャーに行きたい』という彼が、本当にやりたいと思っていることは何なのかをじっくり解き明かしていった。それは『世界一になる』、『伸びしろのあるうちに米国に行って長く現役を続ける』、『誰もやったことのないことをやる』の3つだった」。

 大谷本人ですら自覚しきれていなかった真意を、聞き取りで整理していったのだ。

 「目標が分かれば、あとは『誰も通ったことのない道を行って世界一になろう。そのための手伝いをさせてください』というだけだった。具体的なプランを考えて詳細に説明していった。いろいろ批判もされ、本人も周りも大変だったけど、二刀流は今では彼を語る上で欠かせない」

 そう胸を張る大渕部長は、11日の会見を会場の後方からそっと見守った。

 「『寂しいじゃねえか、この野郎』って感じかな」と送り出すのは栗山英樹監督(56)。右腕をプロ野球に導いた男たちは間違いなく約束を守ったことになる。(片岡将)