【藪から棒球】大谷の価値は最初の3年間で決まる 投手で2ケタ勝利、バッターでは2ケタ本塁打を最低ノルマに

大谷にとっては3年後に最初の大型契約締結のチャンスが訪れます

 ポスティングシステムで米大リーグ入りを目指す日本ハムの大谷翔平投手(23)。舞台が変わっても“二刀流”で成功をおさめるには、“道しるべ”が必要です。

 代理人のネズ・バレロ氏がメジャー全30球団に送付した「質問状」が話題を呼んでいますが、私が2004年オフに米大リーグへ移籍した際には、「西海岸の球団」「中継ぎ投手として働きたい」「日本人選手のいないチーム」の3点を代理人にリクエストしました。

 大谷選手がメジャーで活躍する上で重要なのは目標設定を中途半端にしないこと。“並み”では彼の輝きは半減してしまいます。まずは数字で2つ挙げるなら、1つ目のポイントはズバリ、『36歳』です。

 日本のプロ野球では近年、選手寿命が大幅に延びましたが、メジャーの世界ではこの年齢にピークを迎える選手が多いのが実情です。大谷の場合、新労使協定のために最初の契約では田中(ヤンキース)のような超大型契約は結べません。

 となれば、年俸を高騰させることができるのは、最短で年俸調停資格を得られる27歳シーズンからの9年間。今季ナ・リーグ打撃2冠(59本塁打、132打点)のジャンカルロ・スタントン(マーリンズ)のようなビッグマネー(13年総額約374億円)を手にするには、メジャー1年目から年俸調停資格を得るまでの『3年間』が肝心です。この期間にどれだけの実績を残せるかで、彼の野球選手としての価値が決まってしまうといっても過言ではありません。

 具体的には投手で2ケタ勝利、バッターで2ケタ本塁打を最低ノルマに設定、これらをどれだけ積み重ねられるか。また、ベーブ・ルースの再来とまで言われるほど、未知の世界の扉を開こうとする彼には、これまでなし得なかった記録に挑戦することをモチベーションに戦うことも大切になってくるでしょう。

 これまで海を渡ったどの日本人選手よりも苦労することが多いでしょうが、高いポテンシャルで壁を破ってくれることを願っています。

 ■藪恵壹(やぶ・けいいち) 1968年9月28日生まれ、三重県出身。和歌山・新宮高校から東京経済大、朝日生命を経て93年ドラフトで1位指名され阪神入り。94年に新人王を獲得。エースとして2003年のリーグ優勝に貢献。05年にアスレチックスへ移籍、ロッキーズ、ジャイアンツなどでプレー。10年7月に楽天入り、同年限りで現役引退。11-13年は阪神投手コーチ。現在は野球評論家。